



北摂の山々を望む伏尾台の高台に自らの手で設えたウッドテラス。天気のいい日はこの風光明媚な景色と趣味の自家栽培で採れた野菜を肴にBBQを愉しむのは、ここ伏尾台の街びらき以来ずっと伏尾台センターで理髪店メンズサロン サツマを営んでおられるオーナー理容師の小松教人さん。
直径3メートルほどもあるパラソルが印象的なこのウッドテラス、近くの山を借りての自家栽培が趣味のひとつである小松さんがその畑の一角にご自身で設計し友人に手伝ってもらいながら造ったもので数本の大きな木材を鉄骨で支える本格的な構造のテラスです。

器用になんでも作ってしまう小松さん、13年ほどから始めたその趣味の畑も最初に借りたときの山は、雑木やツル草が生い茂って人が入り込めないほどの状態だったそうです。それを一人でコツコツと開墾され今では夏にはきゅうりやトマト、オクラ、時期によってはネギやニラ、玉ねぎやニンニクなどの野菜はもちろん、ほかにもみかんや柿、桃などの果樹もあり季節ごとに豊富な収穫のある趣味とは思えないほどの豊かな畑を造り上げました。
「土いじりってね、身体に良いんですよ」

九州の農家で育った小松さん、子供の頃は親に手伝いを頼まれるのが嫌で仕方なかったのだそうですが、収穫という恩恵を受けられるうえに自身の身体の健康も保つことができるという相乗効果のある畑仕事がすっかり大好きになられました。また手先の器用な小松さんはその山の木々を使って毎年年末に門松を手作りされており、お店だけでなく自身のマンションの入り口にも門松を提供し飾っておられます。
「門松なら松や竹、南天や梅などの材料を山から切り出してくれば、わずか1時間ほど仕上げてしまいますよ」
そう言って微笑む小松さん、ご自身の手先の器用さを地域に提供し続けること自体がとっても楽しいのだと話してくださいました。

大きなものも小さなものも何でも器用に作ってしまう小松さん。ハロウィンのかぼちゃのオーナメントもこのとおり。竹から組み上げ張り子状にした細工が細やか。
もともと一本の竹だったものに縦に斧を入れ、短冊状に割いていきます。その竹ひごのしなりを利用して、球形になるようゆるやかに丸みをつけていき、骨組みができたらその上に新聞紙や和紙を何層にも貼り重ね、昔ながらの張り子の要領で形を整えます。乾いたらペンキを塗り、目には紙皿を使ったのだそうです。さらに、ぎざぎざの歯と長い舌をつけることで、見る人が思わずたじろぐような恐ろしい表情に仕上げました。


娘さんから部屋に置くライトスタンドを作ってほしいと頼まれた小松さんは、二つ返事で引き受けたものの、いざ木材を前にすると「さて、どう組むか」と腕組みしたまま数十分。それでも持ち前の器用さで腕まくりし、木材と格闘すること数日。ノコギリの音とやすりから出た木くずが工房に舞う中、ようやく完成したのは温かみあふれる手作りライトスタンドでした。木目を活かしたシンプルながらも味わい深い一台に、娘さんも大満足のご様子。
ところが事件はここから。この渾身の一作を目にした小松さんの親戚が「素敵、私も欲しい」とまさかの注文を持ちかけてきたのです。
「いやこれは一点物で……」

そう言いかけた小松さんでしたが、気づけば快く引き受けていました。
そして始まった第二弾の製作。単に高さを変えるだけでは飽き足らず、職人魂に火がついたのか、脚部にアールヌーボー調の優雅な曲線を取り入れるという、当初の予定にはなかったこだわりまで発揮。気づけば親戚からの追加注文というより、さらにバージョンアップした芸術作品を仕上げていました。
娘への愛情、親戚を無下にできない優しさ、そして職人としての探究心。この三拍子がそろって生まれた、ちょっとした傑作シリーズ。次は誰が「私も欲しい」と言い出すのか、小松さんの工房から目が離せません。

もともと西淀川区で理髪店を営んでおられた小松さん、6年ほど経ったとき阪急不動産が「高級住宅地・伏尾台、2000世帯の街」というコマーシャルを打ち出したのを見て、これは商機だと直感し、すぐに問い合わせをしたのだそうです。しかし当初は「地元(池田市在住)優先」という方針で、なかなか出店の許可が下りませんでした。もともと決めたことは絶対やりきる性格の小松さん、西淀川で開業する際もその資金を作るためにシンガポールのマリーナベイ・サンズの港で1年間ほど働かれて開業を果たされたほどですから、伏尾台のことも簡単に諦める小松さんではありませんでした。毎週のように阪急不動産に電話で問い合わせを続けました。出展者がなかなか決まらず募集期間が延長されてもまだ小松さんは諦めませんでした。
「もうどなたか伏尾台での出店者、決まりましたか?」
問い合わせを続ける小松さんにようやく阪急不動産から回答があったのはもう年の瀬近い頃でした。最初からずっと熱心に問い合わせてくれた感謝と共に小松さんが晴れて伏尾台に理髪店を出すことが許されました。小松さんの開業とともに毎週引っ越しのトラックが入ってきて伏尾台に新しい住民が次々と増えていきました。

「もう食事も摂れないくらい忙しい毎日でしたよ」
当時の盛況ぶりをそう話す小松さん、2026年12月で開業44年を迎えるメンズサロンサツマは伏尾台に最初にできた理髪店。伏尾台といっしょに育ちみんなに愛された街の散髪屋さんです。店名の“サツマ”は小松さんの出身地である鹿児島県に由来します。
「なんだか“さつまいも”みたいで夢がないんじゃない?“男爵”とかもっとおしゃれな名前がいいと思うけど・・・」
奥さんの意見も意に介さず、小松さんは3文字が最も覚えやすいというこだわりにマッチしていた“サツマ”に決定しました。

石垣島ではキハダマグロを、青森の竜飛岬では本マグロを大きいものではこれまで100キロ級の大物を釣り上げてきた小松さん。お店が休みの日にはハサミから釣り竿ににぎり替えて日本各地で釣りを愉しみます。小松さんの釣りは野菜の自家栽培と同じく素人離れしておられ漁師顔負けの腕前。ビンチョウマグロ釣りでは高知沖まで船を出し、同乗していた8人ほどの釣り人の中で、他の方が1匹釣るのに30分かかっていたのに対し小松さんは1匹あたりわずか5分というハイペースで釣りあげます。また和歌山ではイザギ釣りにも挑戦され一度に120匹も釣り上げ、その記録が日本一となられたこともあるほどです。

「え、何、そのリールの取っ手。ってたいてい尋ねられます」
小松さんのプロ顔負けの釣果の秘密は“道具へのこだわり”が大きいのだそうです。良いものを選ぶということだけでなく自分自身が使いやすいようにカスタマイズされていることがポイント。もともと手先が器用で何でも作ることが得意で大好きな小松さん、たとえばリールひとつにしても使っていて納得がいく最高のパフォーマンスを得られるように改良されます。効率よく巻き上げられるよう自身で考案・作成されたリールの取っ手は、その形状はもちろんのことですが、そのリールがもたらす並外れた釣果は船で出逢った釣り人たちをいつも大変驚かせます。

もちろん道具自体の基本性能も大切で例えばご自身が愛用のシマノの最上位機種「ステラ」の中でも、普段使いには14000番、マグロ専用には18000番・20000番を使用されているそうです。
14000番は一度巻くだけで1メートル34センチも糸が巻き上がる性能を誇り、これは他の釣り人が使う一般的なリールの倍近い巻き上げ量だそうです。そのため船が移動する際、他の釣り人がリールを巻き終えた後もまだ余裕をもって釣りを続けられ、結果としてご自身に魚がかかりやすくなるのだとか。

最初は堤防釣りやゴムボートで釣っていたのが、いつの間にか本格的に船釣りへとのめり込んでいかれたという経緯にも小松さんの何でも研究熱心な姿勢が伺えます。
「釣ったマグロの刺身とビール片手に友人たちとBBQするのが最高ですね」
釣った魚はもっぱらご近所や釣り仲間、さらには鹿児島や高槻に住むご親戚にまでおすそ分け。そのほか自家栽培の畑に作った自作のウッドテラスで仲間との酒の肴にするのが釣りから帰った後のお楽しみなのだそうです。

写真で小松さんが手にするマグロは船上で格闘の末、最後は槍を使って釣り仲間と突いて仕留めたという、なんと80キロもある大物のマグロだそうです。

水揚げされた後は、小松さんの知り合いがスーパーの鮮魚コーナーで魚をおろしていた縁もあり、そちらで丁寧に解体してもらったとのこと。
これほど大きなマグロともなると刺身にした際の量も相当なもので、なんと200人から300人分にもなったというから驚きです。
これほどの大物に出逢いさらにそれを仕留めるチャンスはまさに一生に一度あるかないかの、豪快で貴重な体験だったとのことです。

小松さんの釣って帰るマグロを楽しみにしているのは親戚や友達だけではありません、お店の看板ネコのジョー君もその一人(匹)。ジョー君の好きな魚はマグロ、太刀魚、カンパチ、ヤガラ。釣り名人 小松さんの飼い猫だけあって百貨店やスーパーで買った刺身は食べない味のわかるグルメ猫ちゃんです。
ジョー君は現在13歳でもとは豊中市にいた野良猫でした。小松さんの息子さんが保護してきたのをきっかけに小松家の一員になったのだそうです。野良猫の親から生まれたジョー君は、兄弟や親猫はおそらくもうみんな虹を渡ったことしょう、野良猫の平均寿命が6歳ほどと言われるなかジョー君はその倍以上生きていることになり、驚くほど長生きな元気な猫です。

ジョー君は小松家にやってきた当初、まだ子猫で性別がはっきりしなかったため、てっきりメスだと思い込み、「お嬢さん」から取って「お嬢」と名付けたそうです。ところが後日病院に連れて行ったところ、獣医から「男の子ですよ」と告げられ、慌てて名前を変えないといけなくなり「お嬢」から「ジョー」というオスの名前となりました。いつもお店のウインドウ越しに店番をするジョー君は訪れるお客さんと小松さん一家に大切にされすくすく育ちました。
「でっかくなって、足を伸ばして寝そべっているとかなり迫力があるんですよ」
そう眼を細め話してくださった小松さん。仕事も趣味も全ての基盤はここ伏尾台。街びらきから40年以上、伏尾台と一緒に一家全員が成長しそして今も伏尾台で愉しみ続けておられます。
ジョー君は人懐っこい性格ではなくあまりじゃれてこないタイプの猫ですがそのマイペースでツンデレなジョー君のことから趣味の菜園、100キロ級のマグロ釣りに至るまですべての礎となるご自身のお店サツマを中心に、この伏尾台でのこと全てを愉しんでおられる小松さん、そのどこまでも楽しそうな笑顔がとても印象的でした。
(2026年9月6日取材)

吾輩の先祖はヨーロッパの山脈で遭難した人を助ける救助犬で、犬種をグレートピレネーズという。あまりに大きいので小松のおっちゃんの奥さんが吾輩を散歩させてくれていた時に
「あら、奥さんこのワンちゃん大きいから、馬みたいに乗ってみたら?」
とよくからかわれたものだ。小松のおっちゃんの知り合いも吾輩と同じ犬種を4頭ほど飼っていたのだが、どの子も6年ほどで亡くなってしまった。しかし吾輩は13年も生きて、獣医から長生きだね~と驚かれたものだ。きっとおっちゃんと奥さんの愛があったからだろう。吾輩の後輩の猫のジョーも長生きなのは吾輩と同じ理由だろう。

これは小松のおっちゃんが1丁目に住んでいた時に偶然見た風景。ある朝、小松のおっちゃんが畑仕事に行こうとしたら川西の方面に雲海がかかっていたんだって。
「こんなに分厚い雲がかかっていると下がまったく見えなかったから、きっとこれは下から見るとここに街があるなんて分からないだろうな~」
って思ったって言ってな~。伏尾台はたまにラピュタみたいに雲の中に隠れることがある、素敵な街なんだ。

釣り竿ももちろん大事だけれど、一番大切なのはリールなんです。最初だから中途半端なものを買うと結局すぐに物足りなくなり、より良いものへ買い替えることになる。かえって予算がかかってしまうことになってしまうという考え方です。
もし何を選べば良いか分からない場合は、釣りに詳しい人や釣具店のスタッフに、自分の予算を伝えそのなかで「なるべく良いものを」と相談すれば、その予算に見合った適切なものを提案してもらえます。

おススメのリールはシマノの最上位モデル「ステラ」です。国産車で例えるなら「クラウン」だと思ってください。
私も最初は1万円以下の安価なリールを使っていたところ、ある程度使い込んだところで物足りなくなり思い切って上位モデルへ買い替えるという失敗をしました。
「最初から一番良いものを買っておけば、後で買い替える手間もお金の無駄も省けたな…」
そう後悔したことを今も覚えています。これは釣り具だけのことではなく工具や楽器なんかでも同じことだと思います。良いものを使えば上達もきっと早いでしょう。
